旅客機の酸素マスク・2 [├クイズ]
Q:旅客機は緊急時に酸素マスクが降りてきますが、その酸素はどうやって供給されるでしょうか?三択です。
A:ジェットエンジンの圧縮空気 B:化学反応 C:酸素ボンベ
先日こんなクイズを出しました。
今回もたくさんの方にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
さっそくですが、Aの「ジェットエンジンの圧縮空気」
というのは、通常機内に空気を送るための方法です。
酸素マスクから送られる空気もジェットエンジンの圧縮空気を用いる方式にすると、
飛行中エンジン停止という事態になった場合、大変なことになります。
そういうことも想定し、別系統の方式で酸素を供給するのだと思います。
ということで、Aの方残念でした。
正解は、BとCです。
Bの化学反応は、
「塩素酸ナトリウムと、分解触媒となる鉄の鑢屑による化学反応」
だそうです。
書いててもちっとも分かりません
化学式が書ける方だと、「ああ、なるほど」と納得なのでしょうね。
オイラが調べた範囲では、この化学反応方式を採用する旅客機が非常に多いのですが、
この方式のデメリットとして、化学反応の過程で熱が発生してしまうために送られる酸素が熱く、
場合によっては吸い込んだ乗客がやけどしてしまうこともあるのだそうです。
そのため、DC‐10は途中からCの酸素ボンベ方式に切り替えたのだとか。
ちなみにBの化学反応方式を採用する旅客機の場合でも、医療用の小型ボンベは積んでいるそうです。
ネットで酸素マスク関連を調べてみると、
酸素マスクが出るということは、ものすごく危険な状態だというイメージが強いみたいですね。
「酸素マスクが降りてくるという事態は、もう墜落したも同然なのだから、
わざわざ酸素マスクを出してパニックを演出する必要などないのではないか」
的な意見も結構ありました。
確かに映画では、機内のパニック演出のアイテムとして、酸素マスク落下はお約束です。
旅客機は高度30,000フィート(約10km)前後を飛行することが多いですが、
機内が12,000フィート以上(約4km)相当の気圧になると、自動的に酸素マスクが降りてきます。
酸素がなければ当然生きていられませんが、
例えば機内が高度30,000フィート(約10km)相当まで減圧してしまった場合、
意識が保てるのはたったの90秒間だそうです。
そんなわけで、「他の人を助けたければ、まず自分が酸素マスクをつけろ」というのが鉄則なのだとか。
離陸前に緊急時の対応説明のビデオが流されますが、幼いわが子をほったらかしで、
真っ先に自分が酸素マスクをつける親のシーンが登場します。
あれは決して子供より我が身を優先しているのではなく、共倒れを防ぐための理にかなった手順なのだそうです。
化学反応にしろ、ボンベにしろ、貯めてあるものを放出するわけですから酸素を供給できる時間には限りがあります。
パイロットはそういう事態になった時、
供給が止まってしまう前にできるだけ速やかに安全な高度(10,000フィート以下)まで下げることになっています。
10,000フィート(約3.3km)といえば、富士山頂より低いですから、なんとかなりそうです。
以前も書きましたが、飛行中に突然すべてのエンジンが止まっても、
無事に全員無傷で滑走路に降り立った事例もあります。
ヒコーキが宙に浮いている間はまだ生き残れる可能性はゼロではありません。
酸素マスクが降りてくるという事態になった場合、
ともかくマスクをつけないと、生き残る可能性を自ら放棄してしまうことにもなりかねません。
マスクが降りてきたら、遠慮なく我先につけましょう。
それから周りの人の手伝いをしましょう。
熱くて少しくらいやけどしたって、意識を失ってそのまま死んでしまうよりはマシです。
実はオイラ、旅客機は化学反応方式のみで、酸素ボンベではないと思ってました。
ところがしまふくろうさんからのご指摘を受け、調べ直してみましたらば、上のようなことが判りました。
しまふくろうさん、ありがとうございました
A、はずれました。
空気じゃなくて酸素なんですね?火がつきやすいと思うのは小生だけ?
by マリオ・デ・ニ-ロ (2006-12-23 19:34)
緊急時の為の装備ですから一生お世話にならないのが一番イイんでしょうが、飛行機マニアの性か、落ちてくるところを一度見てみたいと思ってしまいます(我ながら不謹慎・・・)。
以前、旅客機の貨物室に積んで運搬中の酸素発生機が機体の揺れで誤作動を起こし、化学反応の熱で火災が発生して墜落し100名以上が犠牲になると言う痛ましい事故が起きた事がありましたね。
乗客を生還させるために作られた装備で事故が起き、多くの人が亡くなってしまった事はなんとも皮肉でつらい事です。他の物でもそうですが、安全の為の物でも使い方を間違えると危険な結果につながってしまうという、とても大きな教訓を教えられる事故だったと思います。
乗客の命を救う為の重要な物だから、万が一の時にその力を発揮して多くの人々の命を救う事に役立って欲しいですね。二度と同じ悲劇が起きない事を祈るばかりです。
by 北宇のピューマ (2006-12-23 20:27)
3/2の確率をはずすなんて・・・、俺としたことが。明日は早い便なのでもう寝ます。お休みなさ~い。ノシ
by アスキ (2006-12-23 21:19)
なるほど両方ともありだったんですね。
私もあの後色々と自分で考えてみたんです。
化学反応式はコンパクトにまとまるし、メンテナンスもボンベ式よりもラクなので、化学反応式かもという気になっていました。(^_^;)
by ジョルノ (2006-12-23 21:32)
皆様 いつもコメント&nice! ありがとうございます!
■アスランマリオさん
残念でした~。m(_ _)m
>火がつきやすい
同感です。酸素自体は燃えないとはいえ、機内で火災が発生してたら大変そうです。安全面を考えると、本当はアスランマリオさんたちダイバーのように、圧縮空気を供給するほうが良いのでしょうが、単純に考えて純酸素供給と比較して5倍の気体を発生させなければならないということになります。数百人の人たちに供給するとなると、すごい量になります。酸素マスク使用という事態は確率的には非常に低いわけですから、そんなもののために重量を奪われるのはちょっと・・・ということではないでしょうか?そもそも周囲の酸素が少ないから火災も発生しにくいとか??
純酸素吸入による酸素中毒は、連続10時間までならオッケーみたいですね。旅客機の酸素マスクはごく短時間しか使いませんから、人体への影響という点では心配なさそうです。
■北宇のピューマ さん
空港でヒコーキを見ていた某自○隊の方がポツリと、「1度でいいからあんなデカイのを落としてみたいなぁ」と呟くのを聞いたと以前ラジオで聞きました。単純に普段の訓練の的と比較してのことでしょうけれども。
>運搬中の酸素発生機
痛ましい事故ですね。シャレにならないです。。。本当にできることなら使いたくないモノですね。
■アスキさん
アハハ、確かにアスキさんとしたことが!ですね。またそのうちクイズ出すと思うので~。
■ジョルノ飛曹長殿
おめでとうございました。確かにペイロードの問題がありますから、化学反応方式の方が良いのでしょうね。熱いのをなんとかできればいいんですけどね~。
by とり (2006-12-24 07:36)
なるほど、そんな仕組みにゃのか。
それにしてもとりちゃんは物知りだニャ。
おいら、あれはテレビドラマで緊迫感を出すための小道具だと思っていたニャ。^^;
今まで飛行機いっぱい乗ってきたけど、酸素マスクなんて見たこと無いよん。
by ピン (2006-12-24 17:11)
知りませんでした~
てっきりAかと・・・・・・
常に2フェールを考える航空機の世界では
当たり前なんですね!
by ハイマン (2006-12-25 05:10)
酸素火傷…想像してみたらものすごい痛いんですけどwww
死ぬよりはマシですよね!
とはいっても酸素ボンベ式が普及してくれることを願いますw
by ひろ茶 (2006-12-25 11:54)
メリクリ^^
あ、あのぉ~・・・あながち間違えてないような気もするんですが・・・?とり先生だと×になっちゃうんですか?
by まさ (2006-12-25 17:12)
■ピンさん
オイラも見たことないよ。1度見てみたい、というかつけてみたいなぁ。
■ハイマンさん
「2フェール」という言葉は初めて見ましたが、そういうことですね。
一旦飛び上がってしまったら、できることが限られているというのは、レースの世界とも似ているでしょうか?
■hirochaさん
酸素発生装置から、パイプを通って流れるうちに温度が下がるのだとしたら、ファーストクラスが最も熱いのかもしれません。オイラの勝手な想像ですけど。
>酸素ボンベ式が普及
同感です。
■まささん
アハハ、確かにまささんの仰るとおり、やけどしますねっ。
by とり (2006-12-25 20:53)
おひさしぶりでぇ~す。今回の旅行はまぁ~何というか・・・漫画でした。長崎空港から羽田に帰ったのですが、東京が大雨だったので20分の遅れ、さらに気圧の関係で揺れて妹が吐きまくり、さらに極めつけは、交通事故が起きました、新車だったのでお父さんがマジギレ!!今日はお父さんが保険会社に行っています。お父さんは今年厄年だったそうです・・・では。
by アスキ (2006-12-27 12:55)
アスキさん
あらら、大変だ!(@Д@)
まあ、無事に自宅に戻れて何よりです。。。
by とり (2006-12-27 21:21)
なるほど~!!おもしろいお話ありがとうございました☆
by (2007-01-04 21:30)
ひこうきさん
そう言ってもらえると嬉しいです。
ひこうきさんのお天気話、楽しみにしてますよ~。
by とり (2007-01-05 06:20)