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小松飛行場(旧海軍小松航空基地) [├空港]

  2005年10月、2023年5月訪問 2023/5更新  


1.png
撮影年月日1947/11/06(USA M632No1 122)
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成) 無題k.png
SkyVector.com

石川県にある小松空港。

元々は海軍の小松航空基地でした。

先頭のグーグルマップは、上に貼った航空写真等から作図しました。

きちんとした資料から作図していないため、線の拾い間違いが多々あると思います。

おおよそこんな感じということで、ご了承ください。

作図して気が付いたんですが、航空プラザの駐車場(赤マーカー)、空自小松基地側のエプロン西側(紫マーカー)は、

海軍当時の南北方向の滑走路の地割でした。

発電所(黄マーカー)、車両用掩体壕(青マーカー)、戦闘機用?掩体壕(赤ライン)が現存しており、

誘導路(特に東側)の痕跡も飛行場敷地内にかなり残ってました。

■防衛研究所収蔵資料「海軍航空基地現状表 内地之部 舞鶴鎮守府航空基地現状表」

の中で、当飛行場について一部次のように記載がありました。

基地名:小松 建設ノ年:1944 飛行場 長x幅 米:1700x100 1600x100コンクリート ノモノ2本 主要機隊数:中型小型 主任務:作戦 隧道竝ニ地下施設:居住、指揮所、電信所、燃料庫、爆弾庫、魚(同調8 上格納72本) 工業場(340平米) 倉庫(1.350平米) 掩体:中型隠蔽35 中型無蓋40 小型有蓋31 小型隠蔽15 其ノ他記事:飛行場居住区間約1粁桜花格納庫20機分 

 

戦後の接収、返還を経て徐々に姿を変え、現在は防衛大臣が管理する共用空港となりました。

このため国交省の公式サイトでも「小松飛行場」と記載されています(下記リンク参照)。

2005年にお邪魔したのですが、 小松空港に向かう途中のラジオで、

たまたま小松基地の騒音訴訟問題のことを扱ってました。

なんでも小松基地の周辺住民が、戦闘機の早朝深夜の離着陸差し止めと、

騒音による精神的苦痛の賠償を求めた裁判が起こされており、

今日基地周辺で、裁判長、被告などによる立会いで実態調査を行うとのことでした。

基地周辺で実際に騒音被害を受けているのがどの程度の範囲か調べるのだそうです。

駐車場からターミナルに向かって歩いている途中、F‐15が4機立て続けに離陸していきました。

もの凄い爆音!! 後から離陸した旅客機と全然音量が違います。これは訴えたくなる気持ちもよく分かります。

早速展望デッキに上がろうとすると、ちょうどデッキに上がるバーのところで数十人の背広の一団とすれ違いました。

その中の1人が「裁判所」の赤い腕章をしており、双眼鏡や調査票を持っている人もいました。

階段を登り、展望デッキに出るドアの所まで一団は続き、すごい人数でした。

デッキに上がってみると、まだそれらしい2人組みが残っていて、双眼鏡片手に表に何か書き込みをしてました。

普段旅客機のエンジン音に慣れているオイラにとって、戦闘機の爆音は暴力的なまでの凄まじさです。

思わずヨロヨロとその場にしゃがみ込んでしまいそうです。

コリャ、「せめて早朝深夜だけでも戦闘機は飛ばないでくれ!」と言いたくなる気持ちも分かります。

アフターバーナー焚いてると更に凄いんだそうですね。どんななんだろ・・・

滑走路をはさんで向かい側にある小松基地。

この空港は自衛官が管制業務を担当しており、管制塔も向こう側にあります。

小松空港の展望デッキ。フェンスは高いけど、このようにステージが設けられていて、細長いのぞき窓がついてます。

他の空港でも、フェンスにカメラ用に大き目の四角い窓が開いていたりしますが、

アレだとコンデジなら良いのですが、デジ一の大きいレンズだと、穴に入れたり、

穴の中で動かしたりするのが大変です。

小松空港の方式は、他の空港にも是非取り入れて欲しいところです。

ロクマルさん。Xウイングで飛行しているっぽい絵を撮りたくて、シャッターをきるタイミングに苦労しました(嘘

時間差をかけてブレイクして、1機ずつ着陸していきます。

着陸後、タキシング中。この時点でスピードブレーキをまだ開いてる派と閉じてる派があってバラバラでした。

雨の日も風の日も行われる日本独特の風景。

 


(以下2023年5月撮影)

 

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ターミナル1F

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ターミナル2F

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赤マーカー地点。

国際線駐車場。

戦時中の南北滑走路の北端部分に当たります。

先頭のグーグルマップの作図をご覧の通りで、滑走路の地割の一部がそのまま駐車場になっています。

DSC_0261_00001.jpgDSC_0264_00001.jpgDSC_0268_00001.jpg

青マーカー地点。

車輛用掩体だそうです。

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車輛用掩体の向い側にある「スカイパークこまつ共生の丘」。

駐車場が整備されています。


      石川県・小松空港        

    ビュー:☆☆☆☆☆  
展望デッキ大人50円(2023/5追記:無料になってました)。広々している。フェンスは高いけど、2種類の高さの覗き窓あり。ベンチ、自販機あり。展示物などは特になし。
便数多い。
向かいが小松基地なので、F‐15,T‐4,ヘリがひっきりなしに飛び回っている。上空を編隊飛行する様子が見れるかも。

    施設:☆☆☆☆☆  
レストラン、土産物店がいくつもある。
海産物系、鱒寿司のお土産品多数。ヒコーキグッズも品数豊富。基地があるだけあり、戦闘機関係、プラモもある。空弁、軽食あり。
案内表示分かりやすい。従業員は上品で丁寧。
ビルの外側の敷地も、規模は大きいけど標識が分かりやすく整備されている。
ターミナル前に広い有料駐車場あり。
滑走路端に公園あり。

    マニア度:☆☆☆☆☆  
F‐15のド迫力の離陸
航空ファンはここに来たら、絶対隣の航空プラザに行くべし!

    総合:☆☆☆☆★  
住民側は、早朝深夜の「戦闘機の」離着陸差し止めを求めている。
航空機の飛行全面停止ではなく、戦闘機の終日飛行停止でもない。
住民側からすれば、最大限譲歩した内容だと思う。
確かに他の航空機と比較して、戦闘機の騒音は別格なので、住民の要求が通れば深夜早朝は格段に静かになるだろう。

対する防衛省側からすると、周辺国との位置関係で考えれば、ここか、少なくともこの近辺にどうしても戦闘機部隊が必要になる。
実際この基地は日本海唯一の戦闘機部隊が置かれており、「対領空侵犯措置を行うための基地」という明確な役割が与えられている。
領空侵犯はいつ起こるか分からない。
だから24時間いつでも戦闘機が緊急発進できなければお話にならない。
夜間でも緊急発進できるように、夜間の訓練も必要だろう。

両者の切実な言い分はよく分かる。住民側からすれば、深夜早朝にアフターバーナーを焚いた複数の戦闘機が頭上を飛行することなど絶対嫌だろうし、
防衛省側からすれば、時間を問わず、いつでも戦闘機を飛ばすことができないということは、基地に与えられた役割を果たせなくなるということであり、これは絶対に譲れないだろう。

ところで戦闘機の騒音は確かに凄まじいけど、たった500m,1,000m離れるだけで、その音量は全然違う。「対領空侵犯措置を行うため」というこの基地の役割が変わらないことを前提とするなら、どちらかが移転する以外に解決の道はないと思う。

話は変わるけど、今年に入って在日米軍再編に伴い、小松基地に米軍機の訓練移転を行う方向であると、防衛省から小松市に報告があったそうだ。小松基地訴訟原告団長は、「訴訟で30年も闘ってきて、今またこんな問題が起きた」と述べている。

住民側の訴えは逆に捉えるなら、「深夜早朝でなければ戦闘機が飛んでも構わない」ということになる。基地があることそのものを否定している場所もあるのだから、こちらはまだまだ解決の余地はあるはずだ。

にもかかわらず、これまで30年に渡って法廷闘争を行ってさっぱりらちがあかないことを考えると、「ある程度の米軍機の訓練移転を受け入れる代わりに、対領空侵犯措置という任務は他に移す」というのが現実的な落としどころのような気がするけど、どうだろう。昨日今日この問題を知ったような部外者のオイラが軽々にどちらかの側に付くことはできないけど、近隣住民と基地とでなんとかできるだけ話し合いを深めて、双方が可能な限り少しでも納得できるような方向で解決して欲しい。

・小松航空基地(海軍当時) データ
設置管理者:海軍
種 別:陸上飛行場
滑走路:1,700mx100m(17/35)、1,600mx100m(08/26)(2本ともコンクリート)
(滑走路長さは防衛研究所資料から。方位はグーグルアースから)

・小松空港データ
設置管理者:防衛省
3レター:KMQ
4レター:RJNK
空港種別:共用空港
運用時間:24時間
所在地:石川県小松市向本折町
標 点:N36°23′37″E136°24′28″
標 高:6.7m
面 積:440ha
滑走路:2,700m×45m
磁方位:06/24
航空管制周波数
・飛行場管制 
 小松タワー 118.25 123.10 126.20
 小松グランド 121.70
・進入・ターミナルレーダー管制
 小松アプローチ 120.10
 小松ディパーチャー 120.10
・航空路管制
 東京コントロール(北陸セクター)132.45 125.60
・TCAアドバイザリー
 小松TCA 127.95

沿革
1941年10月 農地開発営団の食糧増産計画で、小松原の砂丘地一体で開墾始まる
        開墾半ばで海軍舞鶴鎮守府施設部が当地を飛行場用地に決定
1943年04月 小松飛行場建設事務所開設。本格的に工事開始
1944年11月 海軍航空基地として滑走路完成(1,500m、1,700m)
1945年08月 終戦
1946年    進駐、補助飛行場(レーダー基地)に
1952年    石川県知事、小松市長、北陸三県下有力者合同で政府、関係機関、衆参両議院に民間空港化要望
     11月 不定期航空運送事業、航空機使用事業の北陸航空輸送が設立認可される
1953年04月 高松宮殿下を迎えて創業式
     05月 航空事業開始
1955年07月 日本ヘリコプター輸送と提携し、大阪~小松間の定期旅客便が週三回運航開始
1956年04月 日本ヘリコプター輸送が東京~名古屋~小松間の定期便運航
       機種をDHヘロン(15人乗り)からDC3(30人乗り)に変更
1958年08月 接収全面解除 航空自衛隊駐屯
1964年09月 滑走路延長2,700m
2023年04月 27日 県、現行滑走路の北210mに第2滑走路設置案。需要予測は滑走路新設の基準満たさず

関連サイト:
小松空港  
国土交通省大阪航空局/小松飛行場   
ブログ内関連記事  

この記事の資料:
「日本海軍航空史」(終戦時)


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コメント 13

chi-hiro

戦闘機とか写真に撮りたいといつも思っていますが、
この記事を読んで、はっとさせられました。
今、沖縄の基地問題でも揺れに揺れて、
日本はやっぱり敗戦国と言ぅ事を実感しました。
by chi-hiro (2006-04-27 07:28) 

とり

ちひろさん
沖縄の人たちにとって、米軍も自衛隊も出て行って先祖の土地を返して欲しいのはやまやまなんですけど、「日本のどこでもいいから移ってくれ」という話にならないのは、やっぱり沖縄気質なんだろうか、などと思います。
もっとも、小松に米軍がくるという話も、沖縄の基地負担軽減からきているのだと思いますけど。
地元の生活を一変させるだけに難しい問題ですね。
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-04-27 20:05) 

マリオ・デ・ニ-ロ

戦闘機マニアにしてみれば心地よい音に聞こえるのでしょうが、住民にとっては騒音以外の何者でもありません。せめて朝・晩の通常訓練くらいはやめてもらって(スクランブルは除く)ほしいですね。
今日小松救難隊が舞台のアニメ「よみがえる空」のDVDを買ってきた。救難隊のファンでした!
by マリオ・デ・ニ-ロ (2006-04-28 21:33) 

マリオ・デ・ニ-ロ

P.S.デッキの細い穴はいいですね。カメラや三には非常にありがたいです。
by マリオ・デ・ニ-ロ (2006-04-28 21:34) 

カンクリ

その轟音が心地よい音に聞こえてしまうワタクシですが、
実は私も親元にいた20数年間はこの爆音と共に暮らして参りました。この小松基地の近くにも2年位住んでました。と言っても物心付くか付かないか、という頃でしたのであまり小松の記憶は残っていませんが・・。
基地に展開する度に周辺住民の皆さんは大変だろうなぁ~と常々思ってます。

それにしても とりさん、イーグルバッチリ撮られてますね♪
by カンクリ (2006-04-28 22:34) 

せる

いやー、僕も沖縄の普天間基地の近くを観光で行ったことありますが、本当にうるさいですよ。
爆音がひどい時は、1mの距離でも相手の声がききとりにくかったですよ。
基地問題は難しいですね。
by せる (2006-04-29 00:17) 

とり

アスランマリオさん
仰るとおり、せめて通常訓練くらいは・・・ですね。「よみがえる空」なんていうDVDがあるのですね~。ふつうにレンタルビデオで借りられるんでしょうか?
デッキのフェンスはどんなに高くても、ちゃんとこういう窓があると嬉しいですよね。
コメントありがとうございました。
by とり (2006-04-29 10:59) 

とり

カンクリさん
やっぱりカンクリさんレベルに達するとアノ轟音が心地よいのですね~
オイラはまだまだ修行が足りませぬ^^
でも仰るとおり、戦闘機を見にわざわざ行くのと、四六時中爆音を聞かざるを得ない住民の方とでは心証は大分異なるのでしょうね。
それからカンクリさんて、あちこちに住んでおられたのですね~
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-04-29 11:04) 

とり

せるさん
普天間行きましたか!
あちこちお出かけですね~
間近に聞くと本当にうるさいですよね。
彼女と行って、「好きだーーーー!!」と叫んでも多分・・・ハッ!オイラは昼間っから一体ナニを言ってるんだ!し、失礼しました~
コメントありがとうございました。
by とり (2006-04-29 11:09) 

北宇のピューマ

「石川航空プラザ」スゴク良かったです。
普段、基地際の時にゲートガードとして飾ってある屋外展示機ばかり見ているので、綺麗な屋内展示機はなんか新鮮な感じがしました。
ドルニエDo-28もスゴク可愛かったけど、中学生の頃「エア・アメリカ」で観て大好きだったピタラスPC-6の実機を見れたのが一番感動でした(^O^) 空の荒くれのような男たちがPC-6やC-123でアジアのジャングルの上を飛び回るあの映画は昔も今も大好きです!正直あこがれちゃいました(実は「トップ・ガン」より好きかもしれません)。
私は飛行機の趣向に関してはかなり映画の影響を受けたクチですが、とりさんは好きなヒコーキ映画なんかはありますか?(北宇のピューマ小松レポ)
by 北宇のピューマ (2006-11-07 22:56) 

とり

北宇のピューマ さん
オイラ基地際行ったことないんですよ。
おお、「エア・アメリカ」って、そんな映画なんですか。今度見てみます。
オイラが好きなヒコーキ映画はですね、「エグゼクティブ・ディシジョン」かな?
トップガンもカッコイイですよね。
レポ、ありがとうございます~^^)/
by とり (2006-11-08 18:10) 

彩遊紀フォトログ

戦闘機の爆音は凄まじいですよね
地元の人は大変だと思います
実際、カミナリが落ちたかと・・ (大げさでしょうか)

空軍基地⇔旅客空港 
滑走路を共有  空域を分け合う 
空港の諸事情も色々興味深いですよね
by 彩遊紀フォトログ (2007-03-31 17:25) 

とり

彩遊紀フォトログさん いらっしゃいませ~ヽ(*´ヮ`)ノ
いや本当にカミナリが落ちたような爆音ですよね。
空港が近いというのは本来お出かけにとっても便利なはずなのですが。。。
by とり (2007-04-01 11:17) 

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