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ベルヌーイvsニュートン・3 [├雑談]

理論vs感性

あちこちでそれぞれの言い分を覗いてみると、

ベルヌーイを支持するのは大学で流体力学をきちんと学んでいる人であり、

ニュートンを支持するのは実際に空を飛び、体感している人に多いような気がします。

片や様々な数式や法則できちんと説明可能な「理論武装」しているグループと、

体感を通して確信しているグループですから、どちらも譲りません。

というか、理論と感性ですから、かみ合わないと言うべきなのでしょうか?

 

もちろん「理論vs感性」というのは飽くまでオイラの印象で、これに当てはまらないケースも多々あります。

例えば、ニュートンを提唱した張本人であるデービッド・アンダーソン氏のように、

流体力学をきちんと学んだ上で異を唱えている方もいます。

逆に、パイロットでもベルヌーイを支持する方もいらっしゃいます。 

ベルヌーイを支持するグループが如何に様々な数式や法則を持ち出しても、

なかなかニュートンを押し切ることができないのは、「証明不可」だから。

というのが理由の1つのようです。

ここからかなり背伸びをして書きますが、こんな感じです。

 

渦発生



子供向けの入門書などでは上のような絵を使って、

「翼の上を流れる空気は下を流れる空気と比べて遠回りになる。そのため、翼の後ろで同時に合流するために早く流れる」

みたいな説明をします。

ところが実際には、「遠回りをするから」というだけの理由で上の空気は早く流れません。

下の空気の方が先に翼の後ろに達してしまい、上の空気がまだ来ていないので、上に回り込もうとします。

しかしうまく回り込むことができず、

図のように左から風が流れてくる場合、翼の後ろで反時計回りの渦が発生します。

ところで渦は、単独で発生することは決してなく、必ず逆回りの渦が対で発生します(ヘルムホルツの第一原理)。

この対の渦は翼全体を大きく取り囲むような形で現れます。

翼の後ろで発生した渦は反時計回りですから、翼全体を囲む渦は時計回りになります。

この翼を取り囲む大きな渦により、翼の上面の気流は下面と比べて早く流れることになります。

こうして気流の速さに差ができるため、上面の気圧が下がり、揚力が発生します。

めでたしめでたし。

 

このように、翼を取り囲む大きな時計回りの渦が発生することが、ベルヌーイ論にとってはキモになります。

ところが、翼の後ろに発生する渦は実際に観測できるのですが、

現在のところ残念ながら肝心な翼を取り囲む渦を観測することができないのだそうです。

また、「ベルヌーイの定理」とは「流体が早ければ気圧は下がり、流体が遅ければ気圧は上がる」ということで、

これは圧力計を使ってちゃんと確かめることができます。

しかし、「翼の上面の空気はなぜ早く流れるのか」はベルヌーイの定理とは無関係で、

こちらは今のところなぜそうなるのかよく分かっていないのだそうです。

 

第三の説

ところで、「ヒコーキはなぜ飛ぶか」についての説は「ベルヌーイかニュートンか」の二元論でなく、

他にもいろいろなグループが存在するようです。

特にオイラが見ていて目立つのが「折衷案派」です。

つまり、「どっちもアリ」という考え方です(ちなみにオイラもこっちです)。

飽くまでオイラのイメージなのですが、ネットを見る限りでは、こっちの意見の人が最も多いような気がします。

折衷案派の言い分はこうです。

「翼がただの板切れでも迎え角をつければヒコーキは飛ばせる。でも翼の形状を工夫することで、より効率的に揚力を発生させることができる」

という感じです。 

他にもいろいろな説を自信タップリに掲げる方々がいらっしゃって、

とても難しい説明をしておられるのですが、オイラはさっぱり分かりません。

 

ん~、今回は思いっきり背伸びをした記事です。

テーマとしては面白いので飛びつきましたが、オイラには無謀な挑戦でした。。。

ベルヌーイvsニュートン・1ベルヌーイvsニュートン・2、そして今回の3と、

ベルヌーイについていろいろ書かせていただきましたが、

結局のところ、オイラは「これが正しい!」と断言できません。

ベルヌーイをきちんと理解していない(できない)ので、「多分折衷案じゃないかな」という程度です。 

記事の中で断定的に「○○です」とか、「○○ではありません」と書いたことでも、

様々な反論が存在するものがたくさんあります。

でもいちいち反論を取り上げてはキリがありませんし、すべてを調べ尽くすこともできませんので、

ある程度に留めております。

いろいろな意見を見回してみて、

オイラなりに今のところ「これが1番もっともかな」という ものを選んでいるに過ぎません。

ですから将来更にもっともだと思える意見が出現すれば、考えはそっちに変わります。

 

いろいろと書かせていただきましたが、皆様はどう思われますでしょうか? 

よろしければ自由にご意見をいただけると嬉しいです。 


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コメント 13

chi-hiro

いつも難かしい事考えているんだねぇ。
わかんねぇや!いいんじゃないのぉ~?(笑)ペコリ
17日から宮古に行くから、一応機長さんに聞いてみるね。
記事貰って帰ってもいいですか?
それと、ビデオ出来るよぅになったから、タッチ&ゴーを撮って来ょうと思ってる。
上手く撮れたらの話だけど。(笑)
by chi-hiro (2006-05-15 21:01) 

とり

なんか自分でもよくワカラン記事にお付き合いいただき、ありがとうございます。
こんな記事でよければどうぞ記事持ち帰ってください!(笑

下地島でダイビングですか?いいなー。
タッチ&ゴー見たいです!是非!!!
・・・と思ったのですが、残念ながら5月の訓練はJALのみで、
B777:21~25日
B767:22~27日
だけみたいです。でも予定に入ってない訓練もありますから見れるといいですね。
お気をつけて!
(実はオイラも18~20日まで本島中部の友だちに会いに行ってきます)
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-05-16 06:14) 

chi-hiro

☆⌒(*^-゚)v Thanks!!
by chi-hiro (2006-05-16 08:25) 

まさ

こんばんは^^
昔の特撮みたいに、目を凝らして見てると釣り糸でぶら下がってるのが見えるんです・・・だったら頭を悩ませることもないんでしょうけど^^
今回はコメントが少ないですね・・・皆さん勝負を避けてるのかな?
by まさ (2006-05-16 20:10) 

とり

まささん こんばんは。
今回の記事で、まささんに以前教えていただいた本のネタを使わせていただきました。ありがとうございました。
それにしても、あちこち調べれば調べるほど、今回の記事は書く気が萎えてしまいました。なんだか選挙演説みたいにどの説もいちいちもっともらしいんですよ。おかげで記事のほうもグダグダになっちゃいました。
こりゃコメント求められても困ると思いますよ。読んでいただけるだけで御の字です。
もっと軽い話書こうっと。
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-05-16 21:17) 

マリオ・デ・ニ-ロ

ブラックボックスでいいです。一番安全な乗り物には違いないのですから...
今日もタマゴを手に持ち空を見上げるマリオでした(笑)
by マリオ・デ・ニ-ロ (2006-05-17 00:43) 

とり

アスランマリオさん
Σ(゚Д゚;) まだタマゴ持ってたんですか?(爆
これからこの論議がどうなっていくのか見守りたいと思ってます。
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-05-17 06:34) 

steel

何がベルヌーイで、何がニュートンなんでしょう?
航空学科は私の学科より頭の良い人が集まってるんだろうなって、
だいたいそんな感じです。
設計に計算は必要ですけど、現場で実験してみないとね。
私は液体系です。
by steel (2006-05-19 18:58) 

とり

ironさん
>液体系
ironさんは液体系の学科を専攻していらっしゃるということでしょうか?
すごいですね。オイラは基礎が全然ないので。(^^;
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-05-20 19:05) 

セロリー

>「翼がただの板切れでも迎え角をつければヒコーキは飛ばせる。でも翼の形状を工夫することで、より効率的に揚力を発生させることができる」

一部のニュートン派は同じように思っているんじゃないかな。つまり、ベルヌーイ VS ニュートンというのは、どちらが中心的存在(主な揚力成分)なのかが問題なのだと。僕自身がそうなんですよ。飛行機の飛ぶ仕組みを子供に語る際『ベルヌーイの・・・・・』と言うべきではないという意見です。ご紹介の折衷案派というのも、板きれでも飛ぶと言っていますね。一つの要素しかダメというのでなければ、現実には当然いろいろな要素を組み合わせて最適化するでしょう。僕はベルヌーイ云々(効果の有無)ではなく「ニュートンこそ『飛ぶ仕組み』として一般に語るべき主な要素じゃないか」という意味でのニュートン派です。折衷案派と特に違いませんね。逆に、あまり折衷案という感じがしない。(^^;
by セロリー (2006-05-22 22:22) 

とり

セロリーさん
貴重なご意見ありがとうございます。ネット上で議論する方の大部分はこの、「主な揚力成分」をどちらと捉えるかを問題にするグループだと思います。
ニュートンの提唱者本人ですら、「飛行はニュートンの法則に基づいているとしたら、ヒコーキのデザインを変えたほうがいいのでしょうか?」という問いに「No」と答えています。
ニュートンを支持するグループは程度の差こそあれ、そのほとんどが折衷案派なのかもしれません。
一方、「飛行機はなぜ飛ぶか」という類の書籍などでは、未だに「ニュートン」という言葉どころか、そのニオイも感じられないというものが多いです。
今後どうなっていくでしょう?
by とり (2006-05-23 19:13) 

セロリー

>今後どうなっていくでしょう?
うーん、どうなるんでしょうね。結論は出てるはずなんだけど・・・・。理論を崩すためには、たった一つの反証で事足ります。今回それが背面飛行などの例でしょう。これが反証足り得ないと示されるまでは、ニュートンが真ですね。でも多分、今後も今までどおりの解説が子供向けの本に書かれ続けるでしょうね。この手のものは、関係者が驚くほど非論理的な頭の持ち主ばかり(正誤ではなく議論の可否)だと気づかされて終わることが多いようで・・・。また、理論を整理する必要性が低く、おそらく一般レベルでは認知されていかないかと。

中学生の時、ある日「電子は-から+へ流れる」と習った直後に、理科の先生を追いかけて質問したことを思い出します。
僕:『前に電流は+から-へ流れると習ったのに、電子は-から+へ流れるというのはおかしくないですか? だったら結局-から+じゃないですか?』
先生:「実はそうなんだよ。たまたま昔は+から-だと信じられていた。その後、電子が-から+へ流れている事が観察されて間違いだったと判ったんだが、今更変えられないという事で“電流は+から-、電子は-から+”という別の概念とすることでそのままにしたんだ」
僕:『・・・・・・・・・・。』
by セロリー (2006-05-24 00:40) 

とり

セロリーさん
「今更変えられない」って・・・。そんななんですか!
確かに電流がどっちに流れるかとか、ヒコーキがどうして飛ぶかの新事実をわざわざ学ぶ必要性は低いでしょうけど。でも正しいことを教えて欲しいです。
興味深いことを教えていただきました。どうもありがとうございました。
by とり (2006-05-24 21:15) 

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