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大西飛行場のその後(向井千秋記念子ども科学館) [├雑談]

以前の記事で群馬県の大西飛行場が廃止になってしまい、

今ではモータープールになっていて、かつての面影はなくなってしまったとご紹介しました 

■大西飛行場閉鎖

大西さんがこの地に飛行場を建設しようとした当時、地元住民の反対に遭い、大変な苦労をされたのだそうです。

飛行場廃止の際、当時八十歳の大西さん本人が、「寂しい気はするが、自分の夢は果たせた。悔いはない」

というコメントを残されました。

形として残っていたものが無くなってしまい、やがては地元の人たちの記憶からも消えていき、

かつてこの地に”熱きヒコーキ野郎”が居たことは完全に忘れ去られてしまうんだろうなぁ。悲しいなぁ。。。

と思ってました。

 

■「向井千秋記念子ども科学館」

ところがです。

最近になって群馬県館林にある「向井千秋記念子ども科学館」の解説ボランティアの方が連絡をくださいました。

それによりますと、

・大西さん作のヒコーキが最近当館に寄贈された
・6月4日に大西さんご本人が来館される

とのことでした。

知らない方にお会いするのは超苦手なのですが、これは行かねばなりますまい……。

ということで行ってきました。

「向井千秋記念子ども科学館」

入館料は大人310円ですが、当日は無料でした。 

解説ボランティアの方が何人もおられ、実験コーナーなどもあり、楽しめる所でした。

 

■スバルプレン

ここはその名の通り、宇宙飛行士の向井千秋さんが当地出身者であることを記念して建てられたものなのですが、

その2階に大西さん設計、製作のヒコーキが展示されてました。

オイラのブログにコメントを寄せてくださったmierinさんともなんとかお会いできました。

残念ながら当初来館予定だった大西さんは、用事ができて前橋に行かれたとのことでしたが、

事務局長さんから大西さんのことについて詳しく伺うことができました。

上の写真のヒコーキは1968年に製作に着手し、最初はグライダーだったのですが、

トヨタ・パプリカの800㏄エンジンを搭載した「エアロパプリカ」号になりました。

その後数度のエンジン換装を経て、

最終的に富士重工のスバル1400㏄水平対抗エンジンを搭載した「スバルプレン」となりました。

1970年には大体現在の仕様になったようです。

(注:tooshibaさんから情報いただきました。スバル1400㏄エンジンを搭載した車は1971年登場とのことです)

自動車用エンジンから探すことを前提とするならば、

これ以上ヒコーキに似合うエンジンはないのではないでしょうか。

完成した「スバルプレン」はその後、神奈川県茅ヶ崎-伊豆大島間の洋上飛行をはじめ、

日本各地で飛行、展示を行いました。

そして平成4年に成田の航空科学博物館に移され、倉庫で眠っていました。

その後大西飛行場は閉鎖されたわけですが、地元館林の方々は、

「我が町の飛行場」を大変誇りに思っておられました。

「このまま飛行場がただ消えてしまうのは忍びない」という思いと、

幼い頃からの夢を忘れずに自分でヒコーキも飛行場もつくってしまった大西さんの気概を

今の子供たちに是非伝えたいという願いから、現在様々な取り組みがなされているのだそうです。

 

■”ヒコーキ野郎”

例えば、大西さんが会長を務める「紙飛行機教室」、「大西飛行場歴史保存会」、

また、かつての大西飛行場のジオラマを作り、

ヒコーキを操縦してその上空を飛び回るバーチャル体験ができる施設を作るという計画もあるのだそうです。

そうした一環として、大西さんのヒコーキを再びこの館林に戻し、是非この科学館で展示したい、

ということで成田の博物館と交渉したところ、「そういう趣旨でしたら」ということで、

「スバルプレン」は今年の4月に「無期限貸与」の形で当科学館にやって来ました。

こうして「スバルプレン」は14年ぶりに生まれ故郷である群馬の地に戻ってきたわけですが、

説明をしてくださった事務局長さん曰く、

「このヒコーキは全部大西さんが自分できれいにリペイントした」と言うのです。

オイラはビックリしました。82歳のお年でそんなことまでされるとは!

思わず「お元気なんですねー!」と言うと、

「お元気ですよー。今日みたいにいつもあちこち飛び回っているし、ゴルフもするし」と言うのです。

「エッ!ゴルフですか? ゲートボールでなく?」と思わず聞き返しちゃいましたよ。

でもまだまだそれ位で驚いてちゃいけませんでした。

成田から戻ったヒコーキをキレイにリペイントし、整備した大西さんは、

何と近くの河川敷で自ら試験飛行までしているのです。

82歳ともなれば、「車の運転はもう危ないから」と、免許証返納する方もおられるというのに……。

ビックリするオイラに相馬さんは、

「本当にお若いですよ。明確な目標と情熱をしっかり持ってらっしゃるから。とても82には見えない。

ここに来ている時も、ツナギ姿でいつも元気に動き回ってますよ」と教えてくれました。

ですからここに展示されているヒコーキは、決して骨董品ではありません。

大西さん同様現役バリバリなのです。

いつでも、という訳にはいきませんが、見学者が操縦席に座り、操縦桿やラダーを操作し、

三陀がその通りに動くことを見ることもできます。

このヒコーキは5人ほどで30~40分位で分解、組み立てができるのだそうです。

当の大西さんはまた操縦がしたくてウズウズしておられるのだそうで、

現在航空局に飛行許可の申請を出しているのだそうです。

科学館のスタッフは、皆さんとても気さくな方ばかりでした。

そして一様に大西さんのことを好意的に語っているのが印象的でした。

mierinさん、ちゅうさんはじめ、科学館スタッフの皆様、
                       大変お世話になりました!

余談ですが、何人かのスタッフの方から、「名刺が欲しい」と言われました。

個人的な名刺を作ることなど考えたこともなかったのですが、

翌日自作名刺用の用紙を買ってとりあえず10枚作ってみました。

作ると早速誰かに渡してみたくなり、1枚目は無関心な弟に無理やり押し付けときました。

これでいつ「名刺が欲しい」と言われても、もう大丈夫!

ブログ用など、個人的な名刺ってみなさん作ってらっしゃるのでしょうか?
 

今回は残念ながら大西さん本人にお会いすることはできませんでしたが、

スタッフの方々からその人柄がしのばれ、次の試験飛行の際には是非お会いしてみたいと思いました。  

科学館からの帰り道、すぐ近くに大西飛行場跡がありました。

科学館に行く前にオイラが勝手に妄想していた悲観的な見方がことごとく良い方に裏切られていったのが、

すごく嬉しかったです。


かつてこの地には飛行場がありました。

飛行場はなくなってしまいましたが、地元の人々の思いからは決して消えず、

大西さんの”熱きヒコーキ野郎”の思いは尚衰えることを知らず、

確実に次の世代に受け継がれようとしていました。


コメント(18)  トラックバック(1) 
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コメント 18

マリオ・デ・ニ-ロ

自分の飛行機、自分の飛行場を自分で作ってしまう。これ以上のロマンはありませんね!大西さんのような人がいたから向井さんが生まれたんでしょう☆
大西さんに限りないnice!を...紹介してくれたとりさんにnice!

P.S.いつか名刺交換したいですね。
by マリオ・デ・ニ-ロ (2006-06-08 00:28) 

tooshiba

良い話ですね☆
大西さんはきっと若いときからお元気だったんでしょうね。
これからもお元気で活躍していただきたいものです。

スバルプレンのエンジンについて引っかかったので横槍を。。。
-水平対向エンジンについてですが、1,400ccのものが登場したのは1971年の初代「レオーネ」以降です。それ以前は「FF-1」という車で1,300cc以下でした。
なので、換装されたのは1970年ではないと思われますが、いかがでしょうか?
by tooshiba (2006-06-08 00:51) 

とり

アスランマリオさん
ヒコーキ好きの夢ですよね。ホント、これ以上のロマンはないですよ。
なんで1つの市からこんな偉人が2人出たんだろうと思いましたが、たしかに仰るとおり大西さんの影響があったのかもしれません。
名刺交換、したいです。
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-06-08 05:57) 

とり

tooshibaさん
ホント、下手したらオイラなんかより元気です。
それからエンジン情報ありがとうございしまた。完全にオイラの間違いですね。
自分のことは間違えても自己責任で済みますけど、人様のことを間違えると迷惑をかけてしまいますから、慎重にやっているつもりだったのですが、スバルプレンについていただいた資料を見誤ってました。感謝です。流石スバリストですね~。記事修正させていただきます。今後とも何かお気付きの点がありましたら宜しくお願い致します。
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-06-08 06:05) 

しまふくろう

とりさんのレポから興味をもって調べてみたら、飛行機好きのしまふくろうの頭の片すみに隠れていたことば「館林エアロ・ジャイログライダー・スバルプレン」この大西飛行場につながっていた事が判り感激しています!
by しまふくろう (2006-06-08 08:45) 

とり

しまふくろうさん
お役に立てたみたいで嬉しいです。しかし、なんともコアなことばが隠れてましたね~!
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-06-08 20:52) 

せる

大西飛行場って、「大西さん」の名前から来てたんですね、地名じゃなかったんだ。
とりさんのブログで、はじめてその存在を知った飛行場が多いんですが、ここは知った時にはもう廃止とは・・。
廃止になったとはいえ、個人の力でここまでなされて地元の人に誇り思ってもらえるのは大変なことだったと思います。
とりさんが大西さん本人に会えてたらもっとお話聞けたと思うんですが、また機会あるでしょうから、続編期待しまーす☆
by せる (2006-06-09 18:16) 

とり

せるさん
今となってはもう絶対に自分の目で見ることができないもの、今見ておかなければ、2度と見られなくなるもの、いろいろありますよね。
今回科学館をお訪ねして、大西さんが如何に地元に浸透しているか実感できて嬉しかったです。大西さんはオイラにとって憧れの人です。今回お会いして、ツーショットを撮らせていただいて、ブログにアップしたいなぁ、という目論みがあったんですが、次の楽しみに取っときます。
コメントありがとうこざいました。
by とり (2006-06-09 21:40) 

chi-hiro

とりさん沖縄から帰って来ました。
留守中、訪問&nice!をありがとうございました。
素晴らしい想い出が出来ましたね!
とりさんのわくわくしてる気持ちが、とても良く伝わって来ます。
大西さんと言ぅ方は素晴らしい方ですね、
目標&目的があればいつまでも元気で頑張っていけるお手本ですね。
by chi-hiro (2006-06-09 22:48) 

とり

ちひろさん、おかえりなさ~い!
沖縄のお土産話&映像楽しみにしてますよ~。
大西さん、本当にお会いしてみたいです。
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-06-10 06:41) 

mierin

先日は、遠くからわざわざお出で頂きまして本当にありがとうございました。
当日は、お仕事のご都合をつけて来ていただいたのに、大西さんが来られなくて、本当に本当にごめんなさい。
でも、ブログで知り合った方に直接お会いできて、そして思っていた通りの誠実な熱い「ヒコーキ野郎?」で、本当にうれしかったです。
相馬さんも、私達ボランティアもあの日は「とりさん」にお出でいただいたことに
すごく感激して、皆で大喜びしました。
終わってからの懇親会でもその話しが出まして、皆から11月5日の「ボランティアフェスティバル」には、是非もう一度お出でいただきたいと熱い希望が出ています。そのときは大西さんを朝からスバルの前に縛って?おく予定です。
6月4日以後、2,3日ブログをチェックしていたのですが、更新されていないので
その後、ちょっと忙しく開けていませんでした。
今日、開いたら、こんなにたくさん書いていただいてあり、又、多くの方が喜んでくださって感動です。
息子のちゅうにも見るようにメールしました。
科学館のメンバーと相馬さんにも連絡します。
パソコンが出来ない人もいますので、ブログの記事をコピーさせていただいて
よろしいですか。またまた、メンバーが喜ぶと思いますので。
本当にありがとうございました。
by mierin (2006-06-29 09:52) 

ちゅう

先日はわざわざおいでくださったにもかかわらず、大西さんが来られなくてホントすみませんでした。
さらに、当日、僕は自分の実験に集中してしまい、ほとんどお話が出来なくて重ね重ねすません(汗)。
ホントにぜひ11月のフェスティバルにはいらしてください!
そのときはもっとお話できればと思っています。
ではまた!
by ちゅう (2006-06-29 10:11) 

とり

mierinさん
こちらこそ、先日はお世話になり本当にありがとうございました。 mierinさん、ちゅうさんをはじめ、スタッフの皆様本当に気さくで親切な方ばかりで、小心者のオイラも本当に楽しかったです。記事のコピーとのことですが、こんな記事でもよろしければどうぞどうぞ。事務局長の相馬さん、他のスタッフの皆様に、本当にお世話になりましたとお伝えくださいませ。

それから、お伺いした当日、 mierinさん宛にメールをお送りしたつもりだったのですが、こちらのミスで届いていなかったですね。後ほど再度お送り致します。
by とり (2006-06-29 19:21) 

とり

ちゅうさん
先日は楽しかったです。ちゅうさんカッコよかったですよ!11月5日の「ボランティアフェスティバル」、今から楽しみに予定に入れておきます。また是非お邪魔させていただきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
では~。
by とり (2006-06-29 19:26) 

とり

IsPhotoさん
nice! ありがとうございます。
by とり (2008-02-05 22:05) 

Ziroさん

館林の科学館は、向井千秋さんがシャトルで宇宙に行った後に、施設名称を変えたはずです。
私が昔行ったときは、館林市科学館だったと思います。
大西さんのスバルプレーン、すごいですね。すごい飛行機ヤローがいたんですね。感動しますね。
近々にぜひ見に行きたいです。
情報、ありがとうございました。
by Ziroさん (2013-07-06 18:42) 

とり

■Ziroさん いらっしゃいませ。
返事が遅れてしまってすみません。
名称変更のいきさつについての情報ありがとうございましたm(_ _)m
大西さん、本当に凄い方ですね。
by とり (2013-07-10 05:05) 

チェロッコ

今日、8年くらい振りに飛行場跡地へ行ってきた。
その時にはまだ運輸会社が入ったばかりで滑走路はもちろん、管制塔や格納庫、踏切等、飛行機以外は残っていたが、今はもう何もない。そこには大きな会社があるだけ。位置を特定するのでさえ一苦労だった。
踏切があった付近で当時から住んでいる方に話を聞くことができた。
とても親切にエピソードを話してくださり、子供の頃見たセスナやパイパーを思い出し、俺はうれしかった。
でも今はもう何もない。寂しかった。ただ寂しかった。
by チェロッコ (2016-08-08 19:18) 

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