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新石垣空港建設計画 [├雑談]

新石垣空港建設決定

当ブログで何度か書いた沖縄の石垣空港の拡張問題ですが、 

新たな場所に作ることが決定しました!

というか、起工式も終ってました。

しかも去年のうちに…

 

去年の10月20日に建設予定地で起工式が行われてました。

今年の3月に沖縄に行ったとき、石垣で3時間の空きがあったので、

行く前から分かってたら、タクシー使ってでも見に行ってたよ。トホホ

最新の話題に疎いのはオイラの特徴ですので、ヒコーキ関係の新しい情報をココに期待しちゃダメですよ?(開き直り)

最新情報が欲しい方は、サイドバーのRSSに出ているそれらしいブログでチェックしてみてください。

 

新石垣空港概要:
供用開始:2013年
滑走路:2,000×45m
無線施設:ILS,VOR/DME
エプロン:75,145㎡ (8バース)

 

なぜ作るのか

そもそも新たに空港を作るようになったのはなぜなのか。

それは、需要と比較して滑走路が短いから。

 

沖縄には12の第3種空港(当時)があります。利用者数と、滑走路の長さをまとめてみました。

沖縄県第3種空港 輸送実績ランク(H17,単位:人)
 1位:石垣空港   1,894,000 
 2位:宮古空港   1,120,000
 3位:与那国空港     78,600
 4位:南大東空港       35,700
 5位:多良間空港       35,400
 6位:久米島空港       26,000
 7位:北大東空港       13,900
 8位:粟国空港          13,800
  9位:波照間空港         3,700
10位:良間空港            3,500
11位:伊江島空港            600
12位:下地空港             ‐‐

ご覧の通り、石垣空港は2位以下を大きく引き離してぶっちぎりで1位です。

(第3種空港としては貨物取扱量と共に全国でも1位)

ちなみに2位~12位を全部足しても、1,331,200人で、石垣空港に遠く及びません。

余談ですが、与那国が3位なんですね。意外です。

では滑走路の長さで比較してみると-

 

沖縄県第3種空港 滑走路長ランク(H19.5現在、単位:m)
 1位:下地空港    3,000
 2位:久米島空港  2,000
 2位:宮古空港   〃
 2位:与那国空港    〃  (2007/3/15~ 1,500→2,000m)
 5位:石垣空港    1,500 
 5位:伊江島空港  〃
 5位:南大東空港  〃
 5位:北大東空港  〃
 5位:多良間空港  〃
10位:粟国空港     800
10位:波照間空港    〃
10位:慶良間空港    〃

石垣より長い滑走路を使っている空港が4つあります。

1位の下地はジャンボの訓練ができることを意図して作ってますから別格として、

続く2位は宮古、久米島、与那国ですが、石垣を100とした場合の輸送実績で比較すると、

石垣空港:100
宮古空港:59.1
与那国空港:4.1
久米島空港:1.4  

です。

如何に石垣空港が短い滑走路で頑張っているかが分かります。

尤も、この比較だけでは必ずしも「だから石垣にはもっと長い滑走路が必要である」ということにはなりません。

では実際のところ現在の石垣空港はどうなっているかというと、使用する機材と比較して滑走路が短いために

・着陸時、プロペラ機も含め常に急制動を強いられ、乗客に不安を与えている(1)
・搭乗者数、貨物搭載量に制限が課せられ、ヒコーキの性能をフルに活かせない
・一部本土行きの便では、十分な燃料を積むことができず、宮古、那覇を経由している(2)
・使用機材が小型ジェットに限られるため本土向け貨物は、一旦那覇でコンテナに積み替えを行っている(3)
-という状態です。

(1)石垣空港の急制動は、知る人ぞ知る名物です
(2)
石垣発本土行きの便は、滑走路が短いために十分な量の燃料を積むことができず、宮古か那覇で燃料の追加を行います。この時安全上の理由から乗客は全員機外に出なければならず、保安上の理由から手荷物を全部持ってゾロゾロ降りなければなりません。ヒコーキに興味のない方からすれば、面倒この上ないですし、時間も燃料も非常に無駄になっています。
(3)
現在は150人乗りのB737を使用していますが、新空港では280人乗りのB767‐300を使用予定

沖縄には石垣以外にも、1,500mの滑走路の空港が4つありますが、

南大東、北大東、多良間は39人乗りのダッシュ8のみ、伊江は現在定期便なしです。

石垣島には大きな需要があるものの、現在の空港では滑走路の短さがネックになり、

あちこちに支障が出ています。

駐車場もターミナルも狭く、繁忙期は利用客が溢れかえってます。

新空港建設に関しては賛成反対いろいろな立場の方がおられますが、

この現実に異を唱える方は多分おられないと思います。

 

オーバーラン事故

ところで、「石垣空港は滑走路が短い」という話になると、

必ずと言っていいほど1982年のオーバーラン事故のことが引き合いに出されます。

当時の南西航空(現JTA)のB737‐200がオーバーラン事故を起こし、

機体は大破炎上、多数の負傷者が出てしまいました。

滑走路が今よりもうんと長ければこの事故は防げたかもしれず、石垣に着陸するパイロットが、

「石垣は滑走路がギリギリ」ということを意識した操縦をしているのは事実としても、この事故を以って、

「滑走路が短いせいで事故が起きた→だから早く滑走路を長くしないと危険である」

という趣旨の記事が余りに多い気がします。

しかし同様の事故がこの1件だけなのは単なる偶然ではなく、

事故の前も、事故の後も、規則に則って十分安全を見越した運用を行っているからです。

事故調の報告書の中でこの事故の原因は、

「機長の制動停止操作が適切でなかったことによるものと推定される」となっています。

もしも事故原因がヒコーキの大きさと比して「滑走路が短いことによる」のであれば、

再発防止策として事故機よりも大きなヒコーキは使わないはずです。

ところが現在石垣空港で離着陸を繰り返すジェット機は、いずれも事故を起こした‐200型より大型のものです。

 

「石垣島の需要と比較して、現行の滑走路では短すぎる。もっと長い滑走路が必要だ」

ということにはほとんどの方が同意するとしても、

そこから先、ではどうやって滑走路を長くするか、となると意見が分かれます。

 

新空港推進派vs反対派

要は滑走路が長くなれば良いわけなのですが、では現在の空港で滑走路を延長するのはどうでしょう?

先ごろ決まった新空港は2,000mの滑走路なので、あと500m伸ばせばよいのですが、

・空港の北には国指定のフルスト原遺跡があるので駄目
・南には市街地が広がっているので駄目
 (空港南に位置する高校、小学校では、騒音のために授業を一時中断するほど)
・空港周辺住民には、早期に空港移転することを前提に今の騒音被害を我慢してもらっている。
 (現空港周辺の3つの公民館から空港拡張反対の要請が出ている)

ということで 推進派に言わせると、

現在の空港で滑走路を延長するのは不可能→だから新空港建設を!

ということになります。

 

また、今後の需要拡大に対応するためには単に滑走路を伸ばすだけでなく、

平行誘導路、エプロン、ターミナル、駐車場などの空港施設も拡張する必要があり

(現在の石垣空港は駐車場、ターミナル共に狭すぎる)、現在の3倍の面積が必要で、

現在の場所ではそれはできない、としています。

更に新空港を建設するメリットとして、

・暫定ジェット空港状態が解消され、有視界着陸から計器着陸が可能となり、安全性が向上する
・コンテナ輸送が可能となり、マンゴー、パイン、花卉、魚介類などの農水産物を
 那覇や東京、大阪などの大都市圏に、大量に早く運ぶことができるようになる
・農業、漁業、観光産業が発展することにより、関連する仕事が増え、
 若い人々が仕事を求めて島を離れることが少なくなる
・280人乗りの中型ジェット機が就航できるので、より多くの観光客を運ぶことが可能になり、
 ホテルや民宿、おみやげ品などの観光関連産業も発展する
・現在手狭で混雑がひどいターミナルも、必要な面積を確保することにより、
 快適なサービスを提供できるターミナルとなる

などを挙げています。

オイラの沖縄の親戚の中にも就職先を求めて東京に出てきている人が何人もいます。

「雇用の拡大につながる」というのは大きな理由になるはずです。

これに対し、新空港建設反対派の主張はこうです。

・環境が自慢の観光資源の島で、環境を破壊する大きな開発を伴う
・現空港の拡張は可能
・一部の人間の利権のために、最初から新空港ありきで計画を強引に進めている

確かに美しい自然がウリの島で、その自然を破壊してしまっては本末転倒です。

 

そもそも需要に応えるために機材を大型化→だから滑走路を伸ばさねばならない。

というのはいかにも日本的な発想で、欧米のように小型機で便数を増やすことで対応すれば、

滑走路を伸ばす必要もないし、利用客にとっても便利である。

大型機になれば、便数が減ってかえって不便になる。

という意見もあります。

現在石垣空港を離着陸するヒコーキの大半は那覇便です。JAL/ANA系列合わせて21往復(+石垣→那覇2便)で、

すべてB737です。

例えばこのすべてを現在使用しているダッシュ8に置き換えたとすると、

同じ座席提供数を確保するには約4倍の便数が必要になります。

この場合、空港に出入りするヒコーキが非常に増えますので、空港施設の拡張は必要になると思います。

分かりませんが、ジェット機が約40回の離着陸をするのと、プロペラ機が約160回の離着陸をするのでは、

騒音被害を訴える空港周辺の方にとってはどちらがマシなのでしょう?

現在21往復もある便がすべてB767に切り替わり、仮に便数が半減したとしても、

個人的にはそれほど不便とは思いませんが。。。

石垣空港の大半の便は那覇行きだと書きましたが、その那覇空港は現在ピークの時間帯は限界に近い状態です。

那覇空港も現在処理能力の増強について検討しているところですが、

現段階では石垣便を小型機にして増便するというのは、那覇空港の受け入れ能力という観点から見ても難しいです。

 

建設の今後

「大きな需要に応えるためには滑走路を伸ばさねばならない→新空港を作らねばならない」 

という流れで記事を書きましたが、自然環境のことを考えると、

必ずしも大きな需要に応える必要はないのではないか。

という考えもあります。

現に、貴重な自然を守るために人やマイカーの流入に制限を設けている地域がありますよね。

つい数日前までオイラは、

「石垣は新空港を作るのか、今の空港を活用するか、まだ決まってない」と思い込んでいました。

そして、今の石垣空港を拡張せず、敢えてそのままにすることは、自然を守ることにつながるかなぁ、

と個人的には考えていたのですが、ともかく新空港の建設計画は具体的に動き出し、

6年後には今よりたくさんの人が石垣を訪れることができるようになります。 

それでも計画反対派のこれまでの活動はまったくの無駄だったとは思っていません。

当初の新空港建設用地はサンゴ礁を埋め立てるというものであり、反対運動によって予定地は二転三転しました。

結果として現在のカラ岳陸上案になり、サンゴを埋めるということはなくなりました。

(それでも海岸線に近いため、赤土の流出が危惧されている)

県庁の新石垣空港関連のウエブサイトには、環境保全についての項目が並んでいます。

建設中も環境破壊には細心の注意を払うとのことですが、

サンゴ礁を埋めて空港を作るということがなくなったのも、建設に細心の注意を払うようになったのも、

反対派の方の働きがあったればこそだと思います。

 

自然を守るのか、開発を進めるのか-

建設予定地ではこの30年、地元の人同士、親戚同士が激しく対立し、逮捕者も出しています。

部外者のオイラには軽々に賛成も反対もできません。

月並みですが、新空港建設が少しでも環境負荷を与えない仕方で進むことを願っています。

この記事の資料:
沖縄県庁/新石垣空港課   


コメント(19)  トラックバック(1) 
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コメント 19

まさ

こんばんは^^
動く歩道みたいに滑走路をクルクル回るようにするってのは?

石垣は観賞用の熱帯魚やサンゴの産地でもあるんで(最近では養殖技術も進んでいるんですけどね)、天然モノの生育環境はなんとか良好な状態で維持してもらいたいなってのが一飼育者としての意見です。
by まさ (2007-05-21 22:34) 

とり

皆様 コメント、nice! ありがとうございます。

■xml_xslさん
nice! ありがとうございます。

■まささん こんばんは^^
>動く歩道
アハハ、やってみて欲しいです。
>産地
そうでしたか!
新空港になったら、ここからニモやなんかがコンテナでどんどん輸出されるようになるのかな?
by とり (2007-05-21 23:06) 

krause

勉強になります、情報有難うございます。
by krause (2007-05-22 10:47) 

北宇のピューマ

>石垣空港の急制動は、知る人ぞ知る名物です
私は「新空港が出来る前に一度体験してみたい」と思ってしまいました。相変わらず不謹慎なピューマです・・・

私もヨソ者がゆえ島の事情に関しては何も言えませんが、作る事が決まった以上は利用側にとっても運用側にとっても使いやすい空港を作ってほしいものです。以前の事故原因が何であれ、やっぱり安全なのが一番です。
by 北宇のピューマ (2007-05-22 18:11) 

tooshiba

新しい空港が開港したら、旧空港の滑走路には住宅が?
とりさんを誘いますねー。
by tooshiba (2007-05-22 21:10) 

おろ・おろし

>石垣空港の急制動は、知る人ぞ知る名物です

3年前に、一度、経験しました。
離陸も、ブレーキを踏んだまま、エンジンをふかして、
それから一気にスタートしたように思いました。

その時は、観光コースをむりやり変更して、訪れた請福酒造さんの
泡盛試飲コーナーで、大変、盛り上がった思い出があります。
   ↓(これを読んで行きたくなった!)
http://www.churashima.net/special_page/awamori/26.html
by おろ・おろし (2007-05-22 21:52) 

とり

■Krauseさん いらっしゃいませ~ヽ(*´ヮ`)ノ
恐縮です。少しでもお役に立てれば幸いです。m(_ _)m
後ほどお邪魔致します!=(⊃゜Д゜)⊃

■北宇のピューマ さん
「名物」という表現もどうかと思ったのですが、今回の記事を書くためにあちこちのHP、ブログで石垣着陸の印象を覗いてみたのですが、「怖かった(>_<)」派と「スゲー!噂通~り!ヽ( ゚∀゚)ノ」派に分かれてました。ピューマ さんと同意見の方も結構いらっしゃいましたよ。
>作る事が決まった以上は
そう!今回それが言いたかったんです!
漠然と頭にあるのですが、文字で表現することができずにいたことを時々ピューマさんにズバリと言われておりますです。

■tooshibaさん
ここは島の中心地に隣接してますから、その可能性は大ではないかと思います。少なくともそのままほったらかしということはないと思います。
夢が広がりますね~

■おろ・おろしさん
あの急制動、経験されたのですね。本当に「オットット!」という感じですよね。
「かけはし」でつくった泡盛。いい話ですね~(;´Д⊂)
ご紹介頂き、ありがとうございました。
by とり (2007-05-22 22:28) 

マリオ・デ・ニ-ロ

ダイバ-でもあり、その関係でWWFにも入っていて・・・飛行機好きで・・・
複雑な心境です。
by マリオ・デ・ニ-ロ (2007-05-23 00:17) 

Tripleseven

じつは、石垣空港の1500m滑走路からは、現在主力となっているB737-400はフルペイロードにしてしまうだけで重量オーバーで飛び立てません。貨物を空にしても満席だと1500km程度飛べるかどうかの燃料しか積めません。非常に制限をかけないと石垣空港では運用できないようです。滑走路を1800mにすればフルペイロードで那覇ぐらいまでは飛べるようです。今の空港でも1800mまでなら拡張は可能であったかもしれませんね。
by Tripleseven (2007-05-23 00:22) 

とり

■アスランマリオさん
建設側は「工法を工夫して赤土流出のないよう万全の対策をとる。世界に誇れる環境配慮型の空港にしたい」と言っています。
本当にその通りになって欲しいです。

■Triplesevenさん
おお、具体的な数字をありがとうございます!
by とり (2007-05-23 06:45) 

basashi

1500mと2000m、たった500mの違いですが、そこには大きな壁があるん
ですね。新空港建設には賛否両論の意見があるようですが、誰もが納得
して安心できる空港になれば良いなぁ。
by basashi (2007-05-23 11:20) 

とり

basashiさん
たった500mなんですけどねぇ。。。
>誰もが納得して
オイラもそうなって欲しいです。
by とり (2007-05-23 19:19) 

風

白保の民宿に泊まったときに話を聞きました。
あの辺は10Kmにも及ぶレリーフのギリギリのところなんですよねー。
工事でサンゴの海もかなりやられてしまうんじゃないかな。
by 風 (2007-05-24 12:57) 

とり

風さん
>工事でサンゴの海も
これに関しては、
「赤土は海に出さない」
「いーや、絶対出るね!」
と真っ向から食い違ってます。まあ反対派の厳しい目が注がれる中での工事ですから、少しでも海が汚れないことを期待したいです。
今回の工事で赤土を一切出さない工法を確立させ、世界中の空港建設関係者の注目を集める、なんてことになればいいなぁ、と思ってます。
by とり (2007-05-25 08:08) 

ぷらぷら

初めて石垣に行ったときは確かに制動が急だなとは思ったのですがこんな理由があったんですね、勉強になりました。
by ぷらぷら (2007-05-25 08:33) 

とり

ANAのSFCを目指してさん
個人的には早く安心して運用できる空港になって欲しいと思っています。
by とり (2007-05-25 17:55) 

torakki

白保のサンゴ礁が問題になってましたよね~。
あれから二転三転して決まったのですね~。
大々的に発表しないでやってしまおうって事なのですかねぇ?
by torakki (2007-06-12 23:32) 

とり

torakkiさん
確かにこっそり感はありますね。(^^;
客観的に見て、「それほど環境破壊の危険度はあるまい」ということで、大騒ぎにならなかったんでしょうか??
by とり (2007-06-13 08:09) 

とり

IsPhotoさん
nice! ありがとうございます。
by とり (2008-02-05 22:06) 

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