B787・4 概要 [├雑談]
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■スペック
座席数 | 航続距離(km) | 最大離陸重量 | 全 長 | 全 高 | 胴体幅 | 翼 幅 | |
787-3 | 290~330 | 5,500~6,500 | 163.3t | 57m | 17m | 5.74m | 52m |
-8 | 210~250 | 14,800~15,700 | 215.9t | ↑ | ↑ | ↑ | 60m |
-9 | 250~290 | 15,900~16,300 | 244.9t | 63m | ↑ | ↑ | ↑ |
-8:最初にデビューする基本形
-9:ストレッチ型
全長で比較すると-9が最大なのですが、座席数は-3が最多。
エコノミーの比率の問題ですかね。
■エンジン
・ロールスロイスTrent1000
・ゼネラルエレクトリック GEnx いずれか選択可。
ANAはTrent1000、JALはGEnxを採用。
エンジン接続部分を共通化してあり、どちらのエンジンにでも容易に変更出来るようになっている。
エンジンスペック:
GEnx
最大離陸推力:34t
全長:5m
ファン直径:2.8m
バイパス比:9.5
軸数:2
圧縮比:23.0
Trent1000
最大離陸推力:24~31.8t
全長:3.9m
ファン直径:2.8m
バイパス比:11.0
軸数:3
圧縮比:47.7
-787の特色-
■生産方式
・専用機(B747LCF ドリームりフター)の使用
部材を空輸することにより、現行では約2週間を要する運送時間をわずか8時間程度に短縮。これにより20~40%の経費削減と予測
・ムービングライン
737,777で途中から採用されるようになった流れ作業、トヨタの「ジャスト・イン・タイム」方式で生産することを初めから設計に織り込んでいる。通常2~4週間かかる最終組立を3日に短縮する計画。
従来のクレーン方式では吊上げ重量に限度があるが、流れ作業方式にするとこうした制約がなくなる。そのため組立て段階の早いうちに、座席や手荷物入れなどの内装を取りつけるなど、より効率的な生産が可能になった。
■複合材
これまで旅客機では一部分の使用に留まっていた複合材の使用を大幅に増やした。787に使用される複合材は炭素繊維をエポキシ樹脂で固めた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)。従来のアルミ合金やチタン合金に比べ軽量で、強度、耐蝕性に優れている。
787では主翼、胴体を含む主要構造の大部分に採用。重量のあるエンジン、降着装置以外はほぼすべて複合材でできているといっても過言ではなく、使用量は機体重量比50%。これは777の4倍強に相当。ボーイングの技術者たちは787を「プラスチック・エアプレーン」と呼ぶ。
・787胴体の作り方
胴体と同形の筒状の型に複合材を貼り重ねる→巨大な釜で加熱、加圧して硬化→型から抜き取る→窓とドア部分を切り取る→塗装→継ぎ目のない一体構造胴体のできあがり
■ノンブリード方式
これまでのジェットエンジンでは、エンジンから取り出した高温の圧縮空気(ブリードエア)を使って、翼面の防氷解氷、空気圧アクチュエータの駆動、客室内の圧力保持などを行うのが一般的だった。787ではこうしたことを電気システムで行うことにより、エンジン効率、整備性の向上、軽量化を果たした。
このため電力消費量が増加するが、同規模のB767と比較して4倍強の発電機(B767:合計240kVA、B787:合計1,000kVA)をエンジン内に搭載することで対応している。
また従来圧縮空気で行ってきたエンジンの始動も、この強力な発電機による始動に変更。
こうしたノンブリード方式、電動化、エンジンそのものの改良などにより787の燃費効率向上20%のうち8%分に寄与。
■コックピット
ディスプレイの面積は777の2倍。ヘッドアップディスプレイを標準装備。
777との共通性が高く、777の操縦資格を保有するパイロットは、5日間のトレーニングで787を操縦することが可能。
■客室内
胴体の素材を金属から複合材に変更したことにより、気密性、耐腐食性、強度が向上。
その結果、より与圧を高めることができ、従来標高2,400m相当だった気圧が1,800m相当になり、客室内の酸素濃度は約5%上昇。また従来は0~5%程度だった湿度は15%程度になる。更に高性能の空気清浄効果と相まって、目、耳、喉、頭の痛みがかなり改善され、非常に快適になることが期待されている。
薄型背もたれ座席の採用でエコノミークラスでも座席ピッチが実質6cm広がり、窓の大きさを通常より65%拡大。窓は従来のサンシェードから電気的減光方式に変更(写真撮影に影響はないのかしらん)。
幅広の通路、大型の手荷物入れ、最新型の照明システム、ANAはトイレにTOTOウォシュレット採用。
■日本の参加
日本企業の担当比率は合計で35%と過去最大。この数字はボーイング社自身の担当割合に等しい。
ANAがローンチカスタマーとなったため、787の設計にはANA側からの要求が数多く盛り込まれている。
三菱:主翼
富士:中央翼
川崎:前部胴体(フレーム、配管、ダクト、配線など艤装して出荷)、主脚格納部、主翼固定後縁
東レ:炭素繊維全量を18年間独占供給
ブリヂストン:タイヤ
ジャムコ:ギャレー、化粧室、操縦室の内装パネル、収納ボックス、操縦室ドア、周辺隔壁
他、数十社が参加
エンジンでは三菱がTrent1000、石川島がGEnxに参加