JALのこと・1 [├雑談]
北海道強化月間ですが、ちょっとお休みしてJALネタを。
といっても、巷で交わされているJAL論議とは少しズレてしまいますが。
先日読んだ本の中に面白い資料があったのでご紹介します。
ANA総合研究所が出した「有効座席キロ当たりの費用(2006)」というもので、
ANA、JAL、イージージェット、サウスウエスト、エアアジアという、
ANA、JALと欧米亜の格安航空会社(以下、LCC:ローコストキャリアと表記)のコストを比較した資料です。
(以下、数字はグラフからの読み取りなので誤差が生じます。ご了承くださいませ)
この資料によりますと、「有効座席キロ当たりの費用(コスト)」はANA,JALが約11USセント(以下同)なのに対し、
サウスウエスト:5.5 エアアジア:2.2 イージージェット:7.0
で、日系とコスト最小のエアアジアでは約5倍の差があります。
やはりLCCのコスト縮減の徹底振りは凄まじいものがあります。
次にANA、JALのコストの内訳を見てみます。
この2社のコスト、全体の数値はJALがほんの少し低いだけでほぼ一緒。
内訳も多少凸凹があるものの非常に似通っています。
ここでは特に渦中のJALの内訳を。
人件費:15.0%
燃料費:23.9%
各種空港使用料:7.5%
整備費:6.6%
その他費用:37.1%
これで全体の90%を占め、残り10%に航空機材費、原価償却費、還付弁済費が入ってます。
同じデータでも人によりいろいろな見方があるのでしょうが、
以下オイラの妄想話を。
まず目を引いたのは、最も大きな割合を占める「その他費用」でした。
JALは37.1%なのですが、
ここに挙げられているLCCの「その他費用」はどんな割合かといいますと、
サウスウエスト:16%、
イージージェット:8%
エアアジア:グラフから読み取れない程低い
でした。
一方のANAは31%でやはり高いのですが、JALの”4割弱”というのは
各LCCと比較するとあまりに異常な割合に見えます。
オイラはこの「その他費用」に何が含まれているのか知りませんが、
「安全対策」のような絶対欠かせないもの以外に、
巷で噂されるあんなものやこんなものがいろいろと含まれていそうです。
ところでですね、仮にJALの「その他費用」をイージージェットと同じにすると、
なんと全体のコストはイージージェットと同じになるのです。
条件が違いますからこれで単純にイコールではないんでしょうが、
この数字だけ見ると、JALは「その他費用」の改革さえ実現すれば、
今すぐ欧州で立派なLCCとして通用するのです。
すごいぞJAL!!
「日系大手はとにかくコストが高い」というイメージが定着してますが、
この「その他費用」という不透明な部分を取り外してみると、
高い人件費、先物買いの燃料費とかの問題を依然内包しているにもかかわらず、
それでもイージージェットと互角の勝負になるわけです。
真面目に頑張っている部門がある一方で、権益に巣食う巨大な闇の部分がコストを異様に押し上げ、
様々な要因により続く利用客の世界的減少、政治家のごり押しで存続している赤字路線等々が
収入を減らす…経営が苦しくなるのも道理です。
コストのパートで見ていけば、「その他費用」が明らかに多過ぎるのだから、
この部分を改革すれば良い、なんてオイラでも思いつくわけですが、
こうした点も含めてどうにもできずにズルズルきてしまったからこそ、
今回のようなことになってしまったんでしょうね。
ネットでは楽観論から悲観論までいろいろ流れてますが…
一体どうなるんでしょうか。心配です。
(続きます)